コンテンツにはテキスト、音声、そして、動画があります。
販売することを前提にした場合、もし、ミュージシャンなら音のメディアで楽曲を公開・販売したり、MVの動画を作ってYouTubeで公開することもできます。
でも、あなたがミュージシャンでないなら、オススメできるのはテキストなら電子書籍、動画ならウェビナーです。
ウェビナーとはご存知のようにウェブとセミナーを組み合わせた造語です。あなたが教えられることを動画にして販売するのがウェビナーです。動画コンテンツの中では比較的カンタンに始めることができます。
動画コンテンツ制作の流れ
ウェビナーは動画コンテンツの中では比較的カンタンに始められます。と言いましたが、それでもやることはいくつもあります。映画やCMなどの動画制作に比べると相対的にカンタンというだけで、苦労せずアッというまに作れるという訳ではありません。動画コンテンツ制作の流れを知らないと、回り道をしたり、迷子になったりしてムダな時間を費やすことになります。だから、動画コンテンツ制作の流れをきちんと理解することが大切です。
- 企画・構成
- コンテ(シナリオ、字コンテ〈スクリプト〉、絵コンテ)
- 撮影
- 編集
- 公開
以上が動画コンテンツを制作し販売するまでの5つのステップです。どれも重要なステップですが、特に重要なのが「企画・構成」です。
動画コンテンツの構成とは
構成という言葉を辞書で引くと
1 いくつかの要素を一つのまとまりのあるものに組み立てること。また、組み立てたもの。「国会は衆議院と参議院とで—されている」「家族—」
2 文芸・音楽・造形芸術などで、表現上の諸要素を独自の手法で組み立てて作品にすること。「番組を—する」
Weblio辞書より
動画コンテンツの構成の場合、諸要素を独自の手法で組み立ててコンテンツにするという意味になります。
動画コンテンツの構成は、動画のタイプによって、組み立て方が違ってきます。
例えば、動画のタイプには映画、ウェビナー、CMなどがあります。これらを比べると、映画の構成フォーマットとウェビナーの構成フォーマットは違います。CMは尺の長さがいろいろあります。
これらの型(フォーマット)を知らずに動画のシナリオやコンテを作るのは難しいと考えた方が良いでしょう。
映画の構成
映画の構成は3幕構成と言われています。
三幕構成は第一幕が「発端」、第二幕が「中盤」、大三幕が「結末」という構成になっています。
さらに「ヒーロージャーニック理論」という、米国の神話学者ジョーゼフ・キャンベルが、世界の神話を研究して発見したストーリー理論があります。これは神話の多くが「召喚」「越境」「試練」「神格化」「帰還」という順番でストーリーが作られているというものです。『スターウォーズ』や『ロード・オブ・ザ・リング』などの映画はまさにこのヒーロージャーニック構造を持っています。今いる世界から異世界へ旅をして、試練を乗り越え勝利を手にして帰還する、というのがパターンです。三幕構成に落とし込むなら第一幕の発端が「召喚」、第二幕の中盤が「越境」「試練」、第三幕の結末が「神格化」「帰還」となります。
このような構成を知らずに映画を作ると、観客をストーリーに引き摺り込むことができず、興行成績や評価の低い作品となってしまうでしょう。
ウェビナーの構成
ウェビナーにも構成はあります。映画のような三幕構成ではありません。
参考になるのは4mat systemです。
4mat systemは、学習の専門家であるバーニス・マッカーシーの研究から生まれたシステムです。
大きく分けると以下のようになります。
1 | Why | なぜ | なぜ、このウェビナーを学ぶ必要があるのか? |
2 | What | なに | なにを学ぶのか? |
3 | What if | もしも | もし、学ばなければどんな不利益がある?(学んだら、どんなベネフィットがある?) |
4 | How | いかに | 具体的な学び方、マスターの仕方の紹介 |
ウェビナーを受講するか迷っている人は、そのウェビナーが自分の探している「解答」を与えてくれるかを知りたがっています。だから、ウェビナーの最初の方で、Why、What、そして、What ifをしっかり見せておく必要があります。そして、Howの部分のボリュームが一番大きくて、Howの部分を視聴することで満足のいく結果を視聴者が手に入れられる構成にします。
Udemyのような教育プラットフォームで販売されているウェビナー動画は、購入前に部分的に視聴できるようになっています。視聴させる時は、Howの部分よりもWhy、Whatあたりを視聴させるとよいでしょう。
CMの構成
CMの構成、あるいは企業が作るプロモーション動画などの場合、映画やウェビナーのようなわかりやすい構成はありません。
その理由は、尺の長さや表現タイプがいろいろあるためです。例えば、CMなら尺の長さは15秒、30秒、1分、3分など。プロモーション動画ならもっと自由度は高くなり、3分から10分以上などが考えられます。
CMの表現のタイプには
- 実証タイプ
- イメージ訴求タイプ
- 有名タレント起用タイプ
- ドキュメンタリータイプ
- ユーモアタイプ
- キャラクタータイプ
- CMソングタイプ
- 比較広告タイプ
- ブランディングタイプ
など、様々な表現タイプがあります。
CMや企業のプロモーション動画の場合、
- 目的(なんのためにその動画を作るのか)
- ターゲット(彼彼女たちの感性にマッチしているか)
- 媒体(テレビCMか、WEB広告か)
- 尺(動画の長さ)
などを十分検討して最適な表現タイプを開発するとよいでしょう。
まとめ
小説家の乙一氏は小説を書く時に映画の三幕構成をベースにしていると『ミステリーの書き方』という本で語っています。
鉛筆やボールペン、パソコンのワープロソフトとおなじように、物語を紡ぐためのツールの一種なのだ。全員が同じワープロソフトを使用したところで、完成する小説が似てくるなんてことはありえない。画一的になることを心配するよりも、ひとまず頭の片隅にこの理論をインストールしておくこと
『ミステリーの書き方』
動画コンテンツを作る場合も道具のひとつとして「構成」のフォーマットを頭の片隅にインストールすることをオススメします。