コンテンツを販売するために動画を制作する場合、映画のように役者がいてその演技を撮影するパターンと、アニメーションで見せるパターン、そして、スライドで見せるパターンがあります。初心者が動画コンテンツを作成する場合、映画やアニメーションではなくスライドで見せる動画コンテンツから始めるのがよいでしょう。
スライド動画とは
スライド動画とは、テキスト、グラフ、チャート、写真、イラストなどをスライド上に表示し、それに合わせてナレーションを被せる形式の動画コンテンツです。
次々と表示させる動画のことです。
スライド動画のスライドは 、パワーポイント、Googleスライド、Keynoteなどのプレゼンテーションソフトを使って作ります。これらのソフトはビジネスパーソンなら日頃からよく使っていると思います。会議の資料やプレゼン用の企画書などを作る際、利用したことがある人は多いと思います。
つまり、プレゼンテーションソフトは手元にあり、操作もある程度できる状態だと思いますので、映画やアニメを作ったことのない人でも、スライド動画ならすぐに作れる環境にあります。そのため初心者にオススメの動画コンテンツです。
スライド動画に必要なツール
スライド動画の制作に必要なツールは以下の通りです。
- プレゼンテーションソフト(パワーポイント、Googleスライド、Keynoteなど)
- マイク
- ポップガード
- カメラ
- スクリーンキャスト(ScreenFlow、Camtasia)
プレゼンテーションソフト
スライド動画制作にプレゼンテーションソフトは欠かせません。パワーポイント、Googleスライド、Keynote、Canvaなどから使いやすいものを選びましょう。
使用率ではパワーポイントがダントツなのでパワポを使ってスライドを制作するという人は多いのではないでしょうか。
Keynoteは、Macユーザーなら無料で利用できるプレゼンテーションソフト。デザイン的に洗練されていて美しいスライドを作りたいのでKeynoteを使うという人もいます。僕もKeynoteを使います。
Googleスライドはクラウドのプレゼンテーションソフト。共同編集できるなどチームで使う時には便利です。使用できる日本語フォントが限られているため、日頃はGoogleドキュメント やスプレッドシートを使っているけど、スライドはKeynoteで作るという人もいます。
CanvaはスライドデザインのWEBサービス。テンプレートが豊富でクオリティの高いデザインのスライドを作成できます。しかも、無料でもかなりのテンプレートが使えるのでデザインに自信がない方にはイチオシです。
それぞれにメリットやデメリットがあるので自分にふさわしいプレゼンテーションソフトを選んで使いましょう。
マイク
マイクはパソコン内臓のマイクではなく、単一指向のコンデンサーマイクの購入をおすすめします。購入の際には、ケチって1000円、2000円のマイクは購入しないようにしましょう。なぜなら、動画のクオリティを左右するのは「音」だからです。。Blue Snowballは動画の録音に十分対応できるクオリティのマイクです。amazonなら7〜8千円くらいです。ワンランク上ならBlue yeti があります。こちらは2万円以下の価格です。
ポップガード
録音するときにあると便利なツールがポップガードです。マイクに強く息があたらるとポップノイズ(破裂音)軽減してくれます。amazonで2000円以下で購入できます。
カメラ
動画撮影できる一眼レフカメラは、10万円以上すると思うので何をどのように撮影してコンテンツを作るのかよく検討してから購入を決めましょう。ワイプ程度でよいならパソコンにUSB接続で利用できるロジクール Webカメラで十分です。フルHD画質でamazonで1万円を切る価格で購入できます。
スクリーンキャスト録画ソフト
スクリーンキャスト録画ソフトとは、パソコンのスクリーンを録画するソフトのことです。MacならScreenFlow、WindowsならCamstasiaが有名です。録画だけでなく、直感的な操作で編集作業もこなせる優れものです。
スライド動画の構成
作成するスライド動画のタイプにより構成は変わってきます。
以下は動画のタイプと構成の関係を表した表です。構成に関しては代表的なものを取り上げています。
動画のタイプ | 構成 |
プレゼンのためのスライド動画 | PREP法 |
ウェビナーのためのスライド動画 | 4mat system |
プロモーションのためのスライド動画 | フック→ストーリー→オフォー |
PREP法
PREP法とは、Point 、Reason 、Example、Point の頭文字P、R、E、PをとってPREP法という名称になっています。プレゼンのためにスライド動画を作る時にはかかかせない構成です。
P | Point | 要点(結論・主張、最も訴求したい要点) |
R | Reason | 理由(結論や主張にいたった理由) |
E | Example | 具体例(理由を裏付ける事例・データ・証拠) |
P | Point | 要点(結論・主張、最も訴求したい要点) |
PREP法は伝えやすさを重視した構成です。
最初に要点を伝え、次にその理由を述べ、さらにデータなどで証拠を示し、最後にまとめとして再度要点を説明するという構造になっています。
最初の要点で聞き手の関心をつかみ、理由から証拠の提示で納得してもらい、最後にまとめてアピールするという無駄のない構成がPREP法の特徴です。
4mat system
ウェビナーの動画としてスライドを作る時に役に立つのが4mat systemです。
このコースで何度か紹介している4mat systemは、学習の専門家であるバーニス・マッカーシーの研究から生まれたシステムです。
大きく分けると以下のようになります。
1 | Why | なぜ | なぜ、このウェビナーを学ぶ必要があるのか? |
2 | What | なに | なにを学ぶのか? |
3 | What if | もしも | もし、学ばなければどんな不利益がある?(学んだら、どんなベネフィットがある?) |
4 | How | いかに | 具体的な学び方、マスターの仕方の紹介 |
フック→ストーリー→オフォー
プロモーション動画の構成は、フック→ストーリー→オフォーという流れが基本です。プロモーションには「AIDMA」の法則、あるいは「AISAS」の法則があります。
AIDMAは、
- Attention:注意喚起
- Interest:興味関心
- Desire:欲求
- Memory:記憶
- Action:購買行動
の頭文字をとった言葉。ユーザーを購買に導く流れを表しています。
AISASは、AIDMAをインターネットの時代にふさわしくアップグレードしたものです。
- Attention:注意喚起
- Interest:興味関心
- Search:検索
- Action:購買行動
- Shere:共有する
というように、ユーザーを購買、そして共有までの流れを表しています。
プロモーション動画のフック→ストーリー→オファーは、AIDMAの法則をよりシンプルにしたもの。フックで「注意喚起&興味関心」、ストーリーで「欲求&記憶」、オファーで「購買意欲」を刺激する構造になっています。
プロモーション動画の目的は企業の商品やサービスの購入・利用促進ですから、購買行動へ誘導する流れを念頭において作りましょう。
アウトライン&スクリプト
アウトライン&スクリプトの作り方を具体的に説明します。僕はKeynoteで構成を作ります。構成はドキュメントで作ろうが、パワポで作ろうが自由です。僕は、最終的にスライドを作るKeynoteで構成を作ります。
構成ができたら、それを見ながらGoogleドキュメントでアウトラインを作ります。
アウトラインにそってスクリプトを書き込んでいきます。ちなみに、スクリプトは字コンテと呼ぶ場合もあります。字コンテはナレーションやセリフだけでなく、どのような動画にするか、その指示も書き込んであります。
たとえば、右の画像は僕のアウトライン&スクリプトです。
僕が作ったスクリプト(字コンテ)ルールに則って書いています。
#はシーンを表しています。#のあとに文字のみの場合は、スライドで表示する見出しを意味しています。
#のあとに( )がついている場合は、どんな映像を表示させるかを示しています。

そのあとに続く文章がウェビナーなら講師のセリフ(ナレーション)になります。
このように構成→アウトライン→スクリプトという流れで動画スライドの設計図が完成します。あとはこの設計図に従って録音・録画をすればいいのです。
スライドのデザイン
スクリプトに従ってスライドを作成します。デザインを自分でゼロから作る方法もありますが、Canvaのように豊富なテンプレートから選んで作成できるサービスもあります。テンプレートを使うと作業時間も短縮でき、クオリティの高いデザインのスライドを作成できます。
スライド作成の際の注意としては、ワンスライド、ワンテーマにします。
情報を詰め込みすぎると見ている人に伝わらないので、ワンテーマ&シンプルをめざします。
配色も3色くらいをベースにします。色数を増やすとゴチャゴチャしてどこを強調したいのかわかりづらくなります。それをふせぐために2、3色の配色が良いとされています。3色の配色は、例えば、文字を黒、ベースカラーを水色にしたら、3色目は水色の補色である赤にします。補色とは反対色のことです。補色の赤は強調したいところなどで使います。反対色なのでとても目立ちます。
スライドに使用する画像は、著作権フリーの画像を使用しましょう。商業利用OKのものを探してください。
無料で使える著作権フリーなら
有料なら
PhotoAC
などが有名です。
まとめ
- スライド動画を作る時は、動画の種類にマッチした構成で作る
- プレゼンのためのスライド動画は、PREP法
- ウェビナーのためのスライド動画は、4mat system
- プロモーションのためのスライド動画は、フック→ストーリー→オフォー
- 構成にしたがってアウトライン&スクリプトを作る
- スライドはワンスライド、ワンテーマが基本
- 配色は3色、ゴチャゴチャさせない